公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律のあらまし平成13年2月

第2 適正化法の主な内容

1 適正化法の概要
 適正化法の概要は、下記の通りです(図−参照)。

適正化法の概要

2 適正化法の主な内容
(1) 適正化法の対象工事
 適正化法の対象となる国、特殊法人等及び地方公共団体が発注する「公共工事」は、道路、河川、港湾、下水道等のいわゆる公共事業に係る発注のみならず、これらの機関が発注する全ての工事を対象としています。したがって、公立の学校や病院、官公庁施設等の施設整備や公務員宿舎の整備等も含まれます。
 適正化法が適用される公共工事は、「国」、「地方公共団体」と、「特殊法人等」が発注する工事ですが、この特殊法人等は、次のような考え方で定められています。
 いわゆる「狭義の特殊法人」(法律により直接設立された法人若しくは特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人)。
 いわゆる「認可法人」(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政官庁の認可を要する法人)。
 独立行政法人。
のうち、
1)国が出資等で一定程度以上関与していること(出資が2分の1以上等)。
2)主な業務を行うため、計画的かつ継続的に建設工事を発注すること。
の両方の条件を備えている法人です。具体的には、日本道路公団、都市整備公団、日本下水道事業団等です。

(2) 入札・契約の適正化の基本となるべき事項
 公共工事の入札・契約は、次の事項を基本とし、適正化を図るものとしています。
○ 入札・契約の過程、内容の透明性の確保
○ 入札参加者の公正な競争の促進
○ 談合その他の不正行為の排除の徹底
○ 公共工事の適正な施工の確保

(3) 全ての発注者に対する義務付け措置
a)毎年度の発注見通しの公表
 発注者は、毎年度、発注見通し(発注工事名、入札・契約の方法、入札予定時期等)を公表しなければならないものとしています。例えば年2回程度、年度当初には年度全体の見通しを、下半期初めには年度後半の見通しを公表する、といったことが考えられます。なお、災害直後に緊急的に行う復旧工事や用地の取得や関係機関との調整が終了していない等の理由により、公表時点では発注の見通しが立っていない工事は、公表の対象から除かれることとなります。
 さらに、国、特殊法人等及び地方公共団体の行為を秘密にする必要がある場合や、予定価格が少額である場合は、対象から除外することとしています。
b)入札・契約に係る情報の公表
 発注者は、入札・契約の過程(入札参加者の資格、入札者・入札金額、落札者・落札金額等)及び契約の内容(契約の相手方、契約金額等)を公表しなければならないものとしています。
 この対象となる工事についても、発注見通しと同様、国、特殊法人等及び地方公共団体の行為を秘密にする必要がある場合や、予定価格が少額である場合は、対象から除外することとしています。
c)不正行為等に対する措置
 発注者は、談合があると疑うに足りる事実があるときは、公正取引委員会に対し通知しなければならないものとしています。
 発注者は、一括下請負等があると疑うに足りる事実があるときは、建設業許可行政庁等に対し通知しなければならないものとしています。
d)施工体制の適正化
 公共工事においては、一括下請負(丸投げ)を全面的に禁止しました。建設業法では、一括下請負は禁止されていますが、発注者による書面の承諾がある場合には、禁止が解除されます。
 しかし、適正化法では、公共工事においては、厳格な入札・契約手続を踏んで契約の相手方が選定されている等から一括下請負を認める必要性が全くないことから、全面的に禁止したものです。
 受注者は、発注者に対し、施工体制台帳の写しを提出しなければならないものとし、実際の工事現場の点検を発注者から求められたらこれを拒否できないとしています。
 受注者は、施工体系図を工事関係者の見やすい場所に加え、公衆が見やすい場所にも掲示しなければならないこととしています。
 発注者は、受注者の施工体制の状況の点検その他の施工体制を適正なものとするために必要な措置を講じなければならないものとしています。

(4) 適正化指針の策定
 全ての発注者に対して一律に義務付けることが困難な事項についても、入札及び契約の適正化について一定の方向性を示し、発注者に対し努力を促すための「適正化指針」を策定するとともに、その実効性を高めるため、措置の状況を調査し、その結果を公表します。さらに、調査結果に基づき特に必要がある場合には、国土交通大臣等から改善を要請することができることとしています。
a)適正化指針の閣議決定
 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、関係省庁に協議し、適正化指針の閣議決定を求めます。また、国土交通大臣は、あらかじめ建設業の健全な発達を図る観点から、中央建設業審議会の意見を聴取することとしています。
b)適正化指針の内容
 適正化指針においては、入札・契約適正化の基本となるべき事項にしたがって、次の事項を定めるものとしています。
 入札・契約の過程、契約の内容に関する情報の公表に関すること(適正化法による義務付け事項以外の、例えば、競争参加者の評点、等級区分の決め方等)。
 入札・契約の過程等について、学識経験者等の第三者の意見を反映させる方策に関すること(例えば、入札監視委員会の設置、地方公共団体における監査委員の活用等)。
 苦情処理の方策に関すること(例えば、指名されなかった者からの非指名理由の説明要求への対応等)。
 入札・契約の方法の改善に関すること(例えば、適切な審査体制を伴う一般競争入札の実施、公募型等の指名競争入札の実施等)。
 工事の施工状況の評価に関すること(例えば、工事成績評価の実施と活用等)。
 その他入札・契約の適正化のための必要な措置に関すること。
c)適正化指針のフォローアップ
 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、毎年度、発注者による措置状況を把握・公表するとともに、特に必要があるときは改善の要請を行うものとしています。

(5) 国による情報の収集、提供等
 国土交通大臣、総務大臣及び財務大臣は、この法律により公表される情報その他入札・契約の適正化の促進に資する情報の収集、提供等に努めるものとしています。
 国、特殊法人等及び地方公共団体は、その職員に対し、関係法令、施工技術に関する知識の習得に努めるものとしています。
 国土交通大臣及び都道府県知事は、建設業者に対し、関係法令に関する知識の普及等に努めるものとしています。

(6) 施行
 基本的に、平成13年4月以降に発注される公共工事に適用されます。

その他
※ 適正化法の概要、骨子については、国土交通省ホームページ(http://www.mlit.go.jp/)に掲載されています。


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