■技術資格試験合格体験記 |
舗装工事の技術力向上を目指して 〔取得した資格〕 1級舗装施工管理技術者 〔資格取得年度〕 平成29年度 |
![]() 髙橋 克佳(たかはし かつよし) 福山市上下水道局 工務部 配水管整備課 主査(統括) |
1.受験の経緯、動機 私は、主に老朽化した水道管を更新するための布設替工事を担当しています。近年は、大口 径管の更新事業に携わっていますが、掘削範囲が広くなるため、必然に舗装復旧範囲も広くなります。 また、市道や国・県道、港湾施設用地など現場ごとに舗装復旧の種類、構造及び施工方法は 大きく異なり、工事完了後は道路管理者などへの完了報告及び検査を受けることになることか ら、舗装の品質・出来形・写真管理などが重要になります。 土木技師にとって舗装施工管理は必須であり、舗装工事現場での品質・出来形・工程管理など の適正な施工管理ができるようになりたいと思い、技術力向上のため、1級舗装施工管理技術者資格の取得を目指すことにしました。 2..試験の概要 2017年度1級舗装施工管理技術者試験は、6月25日に一般試験と応用試験が実施されました。 一般試験は、土木工学・舗装工学・施工管理・舗装工事関連法規などから四肢択一式問題で 60問を必須解答するものでした。 応用試験は、5問出題され、そのうち舗装工事現場での経験記述問題は必須解答であり、その他2問を選択して 解答するものでした。 3.一般試験における傾向と対策 一般試験は出題範囲が広く、舗装設計施工指針・舗装の構造に関する技術基準などの基準書を読んですべてを理解するには多大な時間を要 するため、私は過去7年間の試験問題を解いて出題の傾向を掴み、その後、正解・不正解にかかわらず問題集の解答の解説を読んで理解をす るように心がけました。また、この試験は基準値などの数値を問われることが多いため、舗装に係わる数値を暗記しておく必要があります。 さらに、私が今までに業務で携わったことのない分野の舗装材料の製造及び舗装再生工法などについては、解答の解説を読んでもよく理解 できなかったことから、初心者でも理解ができる解説、図表及び現場写真が多く掲載されている参考書や過去に初心者を対象にした舗装技術 研修会の資料を参考にして理解を深めるようにしました。 試験時間は3時間ありますので、落ち着いて問題文をよく読んで解答しても解答の見直しをする時間はあると思います。 4.応用試験における傾向と対策 応用試験の経験記述問題は、舗装の施工現場において経験したことを基に現場での課題、実施した対策及び結果を技術的に記述する能力が 問われます。 例年、同じ傾向の問題が出題されていますので、事前に今までに経験した舗装工事で品質・出来形、安全管理及び工程管理において課題に なったことを抽出して、それに対して現場で実施した対策と結果を指定された字数以内で書けるように整理しておけば良いと思います。可能 であれば、作成した解答を他の職員に読んでもらい、文章表現や数値などに誤りがないかなどをチェックしてもらえれば、より良い解答が作 成できると思います。 私は、品質・出来形管理について記述しましたが、施工計画や段階確認では「何を確認して」「結果がどうであったのか」を具体的な数値で 示すようにしました。例えば、アスファルトの品質管理については、舗装をした面積からコアを何ヵ所採取してアスファルトの現場密度試験 の結果は、基準密度の何%であったのかを具体的に記述しました。 経験記述問題以外の4問から2問を選択する問題は、舗装の設計、材料、施工及び維持修繕について出題をされ、私は舗装の設計と舗装の 施工に関する問題を選択しました。 舗装の設計は、主に舗装工事区間のCBR試験結果より棄却判定をする計算方法や舗装の「供用年数の経過」と「交通量の増大」などに よる補修断面の設計に関する計算問題が出題されました。 舗装の施工は、普通コンクリート版の施工手順について、施工機械の種類や役割などについて記述する問題や寒冷期での瀝青材料散布後の 養生時間を短縮する方法、瀝青材による施工現場付近の汚れを防止する方法など幅広く出題をされました。 また、舗装の材料に関する問題は、マーシャル安定度試験などにより設計アスファルト量を求める問題や砂置換法による路盤の現場密度を 計算する問題などが出題されているため、日頃の業務で確認をしているアスファルト配合結果表や路盤の現場密度試験結果などに記載をされ ているデータの意味をよく理解しておく必要があります。 応用試験に関しては、自分が得意分野としている問題は、過去問題を中心に学習をして確実に解答できるようにしておく必要があると思い ます。 5.受験者へのアドバイス 1級舗装施工管理技術者試験は、一般試験・応用試験ともに基礎的な問題が毎年出題されていると思います。私は、舗装についてはある程 度の知識があると思っていましたが、試験勉強をするなかで広く浅くしか理解をしていないことに気づかされました。この試験は、舗装につ いての理解が深まり、土木技師にとって業務に役立つと思いますので、意欲のある方はぜひチャレンジをして技術力の向上をしていただきた いと思います。 |