■技術資格試験合格体験記

  肩書きだけ欲しかった

 〔取得した資格〕
  一級土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成29年度


水口 雅人(みずぐち まさと)
 宇治市上下水道部
 下水道建設課技師
  1.受験の動機・経緯

 私の父、祖父、叔父二人の計4人がこの資格を持っており、土木に関連する仕事をするのであれば 最低限一級土木施工管理技士を取得しろと言われ続けていました。また、私自身も受験するのであれば、受験資格を満たしてから最速 で取得し、肩書きだけ欲しいという浅はかな思いを持っていました。職場の上司からも「資格を取得した者には美味しい焼肉に連れて行って やる」と言われ、俄然やる気になったのを記憶しています。
 正直、受験資格を満たしてすぐでは、経験や知識が不十分であることは認識していましたが、日々の業務+αで勉強することにより、基本的 なことの復習にもなり、さらに肩書きがもらえるならと少々不純な考えで受験することを決めました。
 初めて受験した平成28年度は、学科試験は合格することができましたが、実地試験で不合格となり、やはり考えが甘く勉強不足であると 感じました。この試験の制度上、実地試験の不合格者に限り、1度だけ学科試験が免除されるので、何とか次回で合格したいとの思いから前 年度より力を入れて勉強に励みました。その結果、何とか合格することができました。
 

 2.学科試験における留意点や学習のポイント

 第1次試験の学科試験は、四肢択一式の問題が幅広い分野から出題されており、必要解答数が定められています。その中には解答必須の問 題と、解答する問題を選択できるものから構成されています。解答必須問題と選択問題の合計の正答率が基本的には60%以上で合格だった と記憶しています。
 勉強方法は、書店で販売されている過去5年分の過去問題集を購入し、それを繰り返し解きました。繰り返すことで自身の得意・苦手な分 野が見えてきますし、毎年必ず出題されているような問題など、傾向も少なからず掴むことができます。間違った問題は、解答と解説を読み ながら何が違うのかを理解し、業務上あまり関わりがないような内容の場合でも、頭の中でその現場や状況を想像し、いかにも実際に経験し たかのように考えると頭に残りやすいと思います。ただ、選択問題では、全分野理解することが望ましいですが、試験対策としては、苦手な 分野はある程度見切ることも重要です。あとは、問題文を最後の一文までしっかり読み、問われていることを読み違えないようにすることです。 時間は余裕があると思いますし、理解している問題を落とすことほど勿体ないことはないので1問ずつ焦らず解くことが大切です。
 

3.実地試験における留意点や学習のポイント
 最終試験としての実地試験では、択一問題はありません。メインは自身の経験記述ですが、それに加えて穴埋め問題、記述解答の問題があ ります。特に経験記述は事前の準備が一番重要だと思います。経験した工事における技術的課題・検討内容・対応処置をわかりやすく文章化 しなければなりません。これは毎年テーマがかわるので、テーマごとに準備しておかないと当日は対応できない可能性もあります。対策とし ては、自身の経験をもとに1つの工事で複数テーマ分作成し、先輩や上司に添削してもらうのが良いと思います。また、その工事に全く関 わっていない人に見てもらうことでよりシビアで、本番に近い感覚になります。極論ですが、中学生ぐらいが読んでもわかるようにと読み手 を意識することで、よりわかりやすい文章に近づくのではないかと思います。また、穴埋め問題や記述解答については解答の選択肢はなく、 こちらも繰り返し解くことに加え、現場で細かい作業にも目を配ることでヒントが頭に浮かぶこともあると思います。

受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 現場では安全や品質、施工順序などに加えて、手元の作業員の作業など色々な観点から見ることで様々な分野から出る問題に生かされると思 います。しかし、普段正式名称でない単語で会話をしている場合に、問題を見て戸惑うこともあります。やはりこの試験の対策としては、繰 り返し過去の問題を解くことが一番の対策になると思います。
 また、職場ではこういった機関誌をいくつか読む機会がありますが、気になった記事は時間をとって読むことで、普段従事している分野以 外のことも少しは知識として残るのではないかと思います。
 私は当初はこの資格の肩書きだけが欲しいなど、動機が不純ではありましたが、きっかけはどんなことでもいいと思います。自分自身、この 資格を取得したことで、技術力が向上したとは思っていませんが、監理技術者にもなることができる資格ですので、資格の名に恥じないよう より一層、熱心に、業務に取りくもうと思っています。そう思えるということだけでも、資格を取得する意味があったのではないかと思います。