■技術試験合格体験記

  発注者の立場で技術士取得した理由

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門)
  技術士(総合技術管理部門)
 〔資格取得年度〕
  平成11年度
  平成17年度

玉田一雄(たまだかずお)
国土交通省中国地方整備局
企画部技術管理課建設専門官
受験の動機、経緯
 公共工事の品質確保に向け、設計業務等の受託者に対し、配置技術者の資格や実績等を資格要件としていますが、良質な成果品を受け取るために調整・指導・判断等が重要となる私も、相応の資格・実績・技術の継続研鑽等が必要と考え、技術士を受験しました。  また、業務上の立場の変化や業務の多様化に伴い、総合的な技術監理能力のスキルアップが必要となり、総合技術監理部門を取得しました。以下、その体験について記載します。
筆記試験における傾向と対策
 経験論文及び応用論文は、平成17年度から過去の傾向と異なり、予想が難しい出題となりました。対策としては、総合技術監理の経験論文にふさわしい経験業務の選択が最も重要です。作成する論文は、5管理毎に「課題」・「具体的な対応」・「方向性」等をまとめておけば、応用動作は可能と思われます。また私は、日常の業務においても、常に5管理を意識したマネジメントや文章作成等を実践するように心がけました。
口頭試験における傾向と対策
 想定問答を準備し、不安材料を極力払拭して試験に臨むことが得策です。ある本では、『試験終了迄に試験官と今後の健闘を称え合う関係を築くことを目標に』とあり、雰囲気づくりや冷静な対応など技術士の資質にも留意しました。また、私の場合「3義務2責務」を直接的に聞かれませんでしたが、間接的に聞かれたりするので、質問の意図や助け船に気づく冷静さが大切です。
発注者の受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 公共事業の発注者を取り巻く環境は、年々厳しくなっていると感じています。また、技術士総合技術監理部門の試験内容も適宜見直されており、極力早期に取得を目指した方が良いと思います。(平成19年度から試験の内容が大幅に変わります。)そのためには、技術士に限らず資格取得に対する自分のモチベーションが高い時にチャレンジすることが重要であり、自らの将来目標設定やスキルアップの必要性等の動機付けをいかに行うかが大切と思います。叶わない目標はないと思います。是非資格取得し、技術士のネットワークを活用してください。
特に参考になった出版物等
 HPが非常に充実しています。しかし、それ以上に、信頼のおける先輩技術士のアドバイスが効率的かつ有効と私は感じています。

  技術士にチャレンジする時

 〔取得した資格〕
  技術士(水道部門 下水道)
  技術士(建設部門 建設環境)
  技術士(衛生工学部門 水質管理)
  技術士(環境部門 環境保全計画)
  技術士(総合技術監理部門)
 〔資格取得年度〕
  昭和60年度、平成4、5、6、15年度


広浜全洋(ひろはままさひろ)
愛知県企業局企業立地部
企業誘致課主幹
受験の動機、経緯
 私が技術士の資格を取ろうとしたきっかけは、学校を出たての若い頃、当時の上司から言われた言葉だった。「お前も技術屋の端くれだったら、肩書きで仕事をしないで、技術で相手と対等に話せるくらいの技術力を持て!そのために、技術士という資格がある。学校を出て7年目から、受験できるので、君もチャレンジしなさい。」と。その言葉が、私の脳裏に、強烈に焼き付いた。  それ以来、仕事を通じて接する技術士の方々に敬意を表し、私自身も受験資格ができる7年後を意識しながら、日々の仕事で、技術力を磨くよう心がけて来た。技術士は、長い間、憧れに似た資格となった。
筆記試験の対策
 筆記試験の傾向と言っても、平成19年度から第2次試験の内容が改正されるので、先ず、技術士会のホームページで確認することだ。具体的な問題の傾向は、過去の技術士試験問題集やホームページを参考にしたり、技術士を既に取得した諸先輩から、有益な情報の入手に努めることが必要だ。  専門分野の知識は、OJTで習得する。仕事のついでに、もう少し深く、幅広く調べ、問題点と対応策をまとめておく。  技術全般については、日頃から専門誌、土木学会誌、業界紙に目を通し、国土交通白書、環境白書を読んで、特集記事のテーマ、キーワード、社会的なニュースについて整理しておく。  自分の仕事について、ある程度、きりがついた所で、レポートや論文にまとめておくことも大切だと思う。自分の頭で考えて、相手にわかりやすいように、平易な言葉で伝える。また、対外的に専門誌、学会等に発表する機会があれば、積極的にチャレンジすることだ。
口頭試験の対策
 口頭試問における業務経歴については、仕事の内容、その時の立場、問題点、成功失敗を含めての評価、今後の課題に関して、ポイントを押さえて説明できることが大事だ。  専門的知識については、話題のテーマをピックアップして、キーワードを書き出し、簡潔に説明できるようにしておく。  これらは、日常の仕事で、当然、要求されるスキルでもある。プレゼンテーションや会議でも、いつでもどこでも、そのように心がけていれば、内容が違っても、それが口頭試験の訓練になるはずである。
受験者へのアドバイスなど
 試験に合格して間もない頃、恩師と会い、私は「先生、やっと技術士の資格を取得できました。」と話した。恩師は「資格は一枚の切符だ。それを取ったからと言って、満足していてはいけない。(取るまでも大事だが)これから、どんな仕事をしていくか、もっと大事だ」と言われ、今も、私の自戒の言葉になっている。  資格を取得したということで、一定のレベルに達したという自負と、一方で、これからも日々研鑽するという姿勢。  受験へのプロセスは厳しいけれど、学ぶことは楽しくもある。  特に若い人には、できるだけ早い時期から、仕事に合わせて、チャレンジして欲しいと思う。

  技術士(総合技術監理部門)合格の
原動力は日常業務から


 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門 土質及び基礎)
  技術士(上下水道部門 下水渠)
  技術士(総合技術監理部門)
 〔資格取得年度〕
  平成8、15、15年度

星野久紀(ほしのひさのり)
愛知県豊田加茂事務所
受験の動機、経緯
 私の場合、技術士建設部門の合格・登録から数年が経過し、平成13年度から技術士の部門として総合技術監理部門が創設されたことから、個々の技術分野を極めることはもとより、社会的な存在としての公共構造物を構築する際の総合的な技術監理の重要性は益々高まって来ていると感じていたことが受験の動機になりました。同年度に水道部門(当時)も受験しましたが省略します。
筆記試験における傾向と対策
 平成19年度から試験制度が改正されますが、共通する部分も多いので、これまでの試験対策について述べたいと思います。  総合技術監理部門の基本的な参考書としては「青本」(*)があります。いわゆる5つの管理項目を、それぞれの業務の各段階で絶えず意識する姿勢が問われます。5つの管理項目とは、「経済性」、「安全」、「社会環境」、「情報」、「人的資源」です。これらの各項目はトレードオフの関係にあるので、この5つの項目をできるだけ客観的に捉えて、相互調整して最適な対策を講じたかがポイントになります。  私の経験論文では、愛知県瀬戸市・長久手町を中心に西暦2005年に開催された「愛・地球博」会場へのアクセス道路事業を建設部門の観点から取り上げました。開幕日が公表されており、工事の遅延が許されない社会情勢において、経済性管理に含まれる工程管理と労働災害ゼロを目指した安全管理として官民一体となった取り組み、さらに社会環境管理として稀少生物の保全活動の取り組み等を組織の一員としての役割を踏まえて論じました。  当時、「建設部門」の登録者ではありましたが、「総合技術監理部門」の技術士にふさわしいと試験官に読んでいただけるように模式図も書き込み、幾度も自ら推敲しました。可能ならば事前に技術士登録者(合格者)に査読してもらうのがいいでしょう。
口頭試験における傾向と対策
 口頭試験は筆記試験からかなり時間があるので、筆記試験直後に筆記試験内容の忘備録を作成しました。案内が届いてあわてないように「青本」等を熟読することが重要です。最近の技術者に関する社会問題等について自らの業務に関連付けして考察しておく必要があります。私の場合、自問自答(自らPDCAのサイクルを回す)を繰り返して110項目以上のQ&Aを作成しました。
今後に向けて
 平成19年度からは経験論文は別途提出し、口頭試験の際に「採点」される仕組みに変わるので、「高等」な戦術が必要になるのでしょうか。職場の同僚や上司の指導内容などを参考にして自分に不足している分野の理解を深めるとよいと考えます。やはり日常業務こそが応用能力や課題解決能力を高める機会と自覚すべきでしょう。  (*)「技術士制度における総合技術監理部門の技術体系」、「科学技術者倫理の事例と考察」など:(社)日本技術士会発行

  技術士受験しませんか

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門 河川、砂防及び海岸・海洋)
  技術士(総合技術監理部門)
 〔資格取得年度〕
  平成16年度
  平成17年度

満仲朗夫(まんなかあきお)
三重県四日市建設事務所
事業推進室整備一課長
受験の動機・経緯
 かねてから仕事上で技術力不足を痛感してきたところに、身近な先輩方の技術士資格取得の報や合格体験を聞き、自分でもできるような錯覚が生じたことが受験の動機です。また、諸先輩から資料をいただいたり、余分に取り寄せたからと受験申込書の用紙までいただくという恵まれた環境にもありました。
筆記試験について
 総合技術監理部門は平成13年度に創設された部門です。「経済性管理」・「安全管理」・「人的資源管理」・「情報管理」・「社会環境管理」の5つの管理技術によりさまざまなニーズのトレードオフを軽減してバランスよく業務や職務をこなすことが求められます。  平成17年度は、択一式40問と経験論文3千字、試験時間は3時間30分でした。建設部門など他部門との併願を勧められる向きもありますが、私は不器用ですので順番に受験しました。  総監部門では、いわゆる「青本」の熟読が何よりも大切ということでしたので、私はまず時間をかけて青本の専門用語を一つひとつ調べて理解を深めるとともに、関連事項やトピックを収集しました。ある程度の知識が入ったところで、択一式問題の対策として過去問を丁寧にやりました。  平成19年度からは試験制度が大きく変わろうとしていますが、総監部門ではやはり「青本」の熟読が基本になると思います。キーワードの理解、関連事項やトピックの収集、把握が特に重要です。
口答試験について
 口頭試験は渋谷のフォーラムエイトという所で30分間行われました。試験官は総監部門担当と専門分野担当のお二人でした。  試験内容は、筆記試験で回答した内容を含め、経験業務を総監の5つの管理という視点で説明すること、専門分野における最近の技術的動向に関すること、技術者倫理に関することなどが主でした。受験の動機や今後の抱負も含め、それらを簡潔に説明できるようにしておく必要があります。  なお、近年は特に技術者倫理が重視されており、その基本となる技術士の3つの義務、2つの責務は当然すらすら言えることは必須条件だと思います。
今後受験される方に一言
 技術士は法により継続研鑽が義務付けられています。従って資格取得は継続的な勉強の出発点になります。自らの経験を技術体系のなかで再整理することの繰返しによって確実に技術力は向上しますので、日常業務においても必ず役に立つ時が来ます。  私の一次試験から二次試験の建設部門、総監部門を通じた勉強の基本スタイルは、インターネットを辞書代わりに使うことでした。とにかく普段使わない用語にぶつかる場合も多く、独学には情報が不可欠だからです。この記事によって「そんなことならできそうな気がしてきた」と思われれば幸いです。継続研鑽ですから、いつから始めてもOKです。
特に参考となったこと
 「技術士受験を応援するページ」というサイトを一次試験からずっと参考にさせていただきました。技術士試験に係るさまざまな情報や過去問、筆記及び口答試験対策など内容が具体的且つ的確で非常に解り易いものですので特にお薦めします。

  技術士第二次試験を振り返って

 〔取得した資格〕
  技術士(森林部門 森林土木)
 〔資格取得年度〕
  平成17年度

藤井 優(ふじいまさる)
鳥取県西部総合事務所
県土整備局主任
受験の動機・経緯
 私が「技術士」資格の取得を意識し始めたのは、平成7年1月の兵庫県南部地震に伴う、山地災害復旧のため、1年間兵庫県淡路島に派遣された際の、担当コンサルタント会社の技術士との出会いからでした。当時、野島断層周辺で多発した複雑な機構の地盤災害に対して、的確な地盤情報の収集、現場に適応した対策提案等、高度な技術水準を備え、最善の努力をしている技術士の業務に感銘を受けました。これを契機に、今後、森林土木事業に携わる者として、技術の研鑽を積み、地域住民の信頼を得ながら、低廉で良質のサービスを提供していく必要があると考え、受験を決意しました。
筆記試験における対策
 二次試験に向けて、私が準備した内容を以下のとおり書かせていただきます。なお、19年度以降は、試験制度が改正されるため、内容をよく確認してください。 1)これまで自分が主に携わった業務内容の整理 ・経験論文を作成する題材の抽出。 ・経験論文の推敲。(答案としての「おもしろさ」を引き出す工夫。私の場合は、全く技術的な経験のない妻に、答案を批評してもらいました。) ・図表を挿入し、ビジュアル的に注目される答案の作成。 2)過去10年間の問題について自分なりの答案を作成。 ・記述問題での例年の出題傾向(項目)、共通するキーワードの把握。 ・ひとつのキーワードから、他の多数のキーワードを連携させ、文章を構築する練習。 ・択一問題の解答を自分なりに調べ、関連事項を整理する。(記述問題のキーワードを併せて補足する。) ・簡潔な表現(箇条書、句読点、マス開け方等)による答案用紙の使い方を工夫。 ・自分にあう鉛筆、シャープペン選択と、早く書く練習。(私は文章と図表の作成に、シャープペンの3B、2B、Bを使い分けていました。)  以上、答案作成にあたっては、「キーワード」の繋がりが重要であり、なるべく多くの過去の問題に触れることで、基礎知識とともにキーワードの蓄積を図っていただきたいと思います。  受験当日は、「最後まであきらめない」という姿勢で取り組んでいただきたいと思います。さらに、受験直後の記憶が新しいうちに、口頭試験での質問に備え、答案を再現しておくことをお勧めします。私の場合、筆記試験の終了後、受験会場近くのコーヒーショップに立ち寄り、記憶をたどりつつ、じっくり2時間かけて答案を再現しました。
口頭試験における対策
 11月上旬に筆記の合格を早朝ネットで把握し、ほっとした感がありましたが、12月上旬から始まる口頭試験に向けて、以下の準備に取りかかりました。 1)筆記試験直後に再現していた答案を基に、不足部分を検討して補強した。 2)経験論文を再度客観的に見直し、現行技術基準で違う対応がとれないかを検討した。 3)自分が受験した技術部門(専門分野)が、現在求めれている事項を体系的にまとめた(ここでも、これまでに抽出したキーワードによる体系化が有効でした。) 4)自分が携わった業務、培った技術的専門分野を再度整理した。(ほとんどの場合、業務履歴についての質問があります。) 5)技術士法における、技術士の責務、倫理規定の確認。(3義務2責務等。)  受験当日は、時間的に余裕をもって会場に入りました。自分の名前を呼ばれ、受験室に入るまでは非常に緊張しましたが、受験番号、氏名を告げ、着席した段階では、なんとか落ち着くことができました。受験時間は約30分でしたが、業務履歴、専門的事項、地震による山地災害の特性、技術士の責務等の質問を受け、つまることなく回答することができました。
受験を志す技術者の方へ
 受験にあたっては、試験内容をはじめ、勉強の方法、参考にする資料等が必要かと思いますが、最近では技術士受験に関して多数のホームページが開設されていますので、一度閲覧してみてはいかがでしょうか。また、どの資格試験にも言えることですが、私の場合は二次試験合格まで4年かかりましたが、この間の受験意欲の維持、家族の理解等、調整を図っておく事項もあるかと思います。しかし、技術者として今後の夢をかなえる過程として、これらの試験にぜひチャレンジしていただきたいと考えます。

  建設部門(道路)の対策

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門 道路)
 〔資格取得年度〕
  平成17年度


上山孝英(かみやまたかひで)
宮崎県土木部日南土木事務所工務課長
受験の動機、経緯
 技術士の資格には以前から関心があり、いつか自分も業務に関係した分野でこの資格を取得したいものだと思っていました。  職務上、複数の分野で業務を経験してきたため、選択科目の選定に迷いましたが、現在、従事している道路で受験し、幸いにも合格することができました。
筆記試験の傾向と対策
 平成19年度から、筆記試験での経験論文が廃止されるなど試験方法が大幅に改正されます。出題傾向も変わるかも知れません。詳しくは(社)日本技術士会のホームページを見てください。  私は、まず過去10年間の専門選択問題を集め、自分なりの解答案を作りました。道路の場合、過去問と同じ出題は少ないので傾向は掴みにくく、一次試験の過去問や、自分で考えた予想問題を加えて解答案を作成しました。作成には道路工学や交通工学の専門書を読み、参考にしました。  また、専門選択問題の2問題中1問題は道路一般ともいえる課題から出題されましたので、国土交通省のホームページや国土交通白書から道路事業に関係するトピックを拾い出して準備しました。
口頭試験の傾向と対策
 平成19年度から、経験論文は筆記試験の合格者のみ口頭試験の前に提出することになります。  口頭試験では経験論文に関する試問のウェイトが高くなると思われますが、試験時間も長くなりますので、これまでのように業務経歴や専門分野のトピック、合格後の抱負、失敗例と対応策、技術士法、技術倫理なども試問されると思います。私は過去の口頭試験問答録を最近受験した知人から譲ってもらったり、インターネットで入手したりして自分なりの予想質疑を考えました。
受験者へのアドバイス
 筆記試験は手書きですが、経験論文や解答案の作成・修正にはパソコンを使った方が便利です。作成した解答案や役立ちそうな参考資料を縮小印刷し、休日など持ち歩いて隙間時間に何度でも読み返すことをおすすめします。携帯電話の電子ブック機能やパソコンの読み上げソフトなども役に立ちました。  職場によっては、私のようにいろいろな分野を異動され、選択科目の選定に迷う方もおられると思いますが、できれば現在携わっている業務分野の方向で受験された方が最新の情報を収集しやすく、日々の業務が即受験準備につながり有利ではないかと感じました。
参考にした出版物
・「エース交通工学」(樗木武 外 朝倉書店)
 道路計画の流れや交差点計画などを参考にしました。
・「道路工学入門」(石井一郎・丸山暉彦 森北出版)
 専門選択問題の参考資料に役立ちました。
・「道路構造令の解説と運用」(日本道路協会)
 常識的な項目や改正点は口頭試験対策でも試問されました。
・「道路」(日本道路協会)
 最近の道路事業におけるトピックや課題をチェックしました。
・「国土交通白書」(国土交通省 ぎょうせい)
 道路や社会資本整備に関する部分が参考になります。

  官公庁技術者としての技術者資格

 〔取得した資格〕
  技術士(水道部門 下水道)
 〔資格取得年度〕
  平成14年度

須田雅祥(すだまさよし)
市原市財政部財政課主査
受験の動機・経緯
 社会人となって数ヵ月経た頃に、身近に技術士の方がいらっしゃったこともあり、漠然と遠い将来に技術士を目指すことを考えました。しかし私生活を満喫している間に、それもいつの間にか忘れてしまい、年月が過ぎ去っていました。  そのような状況でしたが、下水道の建設部門に携わって10年近くが過ぎ、仕事に対する気持ちに変化が生じたためか、ある日、急に技術士の資格が気になり出し、下水道の現場に携わっているうちに自らの経験を形にしたいと考え、受験に踏み切りました。
筆記試験における傾向と対策
 近年、法改正や時代の変化を受け試験の内容が年々変化しています。しかし、根底にあるものは今も昔も同じであると考えています。下水道の例で言えば、技術的には少なくとも「下水道施設計画・設計指針と解説」は概ねの理解をしておかなければならないと思います。私は、日常業務のなかでは常に応用力を養うことを考えるとともに、担当業務以外の分野は書籍等で補いました。  また、全体的に国の政策などを理解することも必要ですので、HP等を活用して最新の動向の把握に努め、さらには「日本の下水道」や「下水道協会誌」、「月刊下水道」からの情報も役立ちました。  筆記試験は、今後、経験偏重から知識偏重へ移行していくとのことですから、基礎をしっかりと身に付け、日頃の業務のなかでは常に疑問点や改善点を意識して取り組む必要があると思います。
口頭試験における傾向と対策
 口頭試験は精神面が大きいと思います。この試験を失敗すると次年度にまた筆記試験からやり直さなければならないということが相当のプレッシャーを生みました。これに対処するために、控え室で最後の追い込みをしている人もいましたが、私は今さら不安要素を増やさないために、順番を待つだけにしました。  試験の内容は筆記試験のことも聞かれましたが、それ以外の技術論や法的事項が主でした。やはり緊張で上手く受け答えができない質問もあったように思いますが、意識したことは、あせらずにはっきりと受け答えをすることでした。
受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 受験に対して一番重要なことは、いかにモチベーションを維持するかだと思います。資格は私達の業種にとって、必ずしも必要に迫られているものではありません。受験勉強の時間捻出を考えると諦めてしまいそうになることもあると思います。また、頑張って取得しても直接的なメリットは少ないように感じます。むしろ、取得してからは「権威の重み」を感じているのが本音です。しかし、技術者としての自分の地位や信頼を培って行くためには大変役立つものだと思います。それが、良い意味で自らの「誇りと責任」につながっていくと考えます。  最後に、この体験記が官公庁技術者の、特に20代、30代の方にとって、資格取得の動機付けの一助になれば幸いです。

  スタートライン

 〔取得した資格〕
  技術士(建設部門 都市及び地方計画)
 〔資格取得年度〕
  平成17年度

高瀬和夫(たかせかずお)
大分市都市計画部都市計画課
はじめに
 本体験記をお借りして、資格取得に伴う多くの先輩方よりのアドバイス、また現在資格取得後の継続研鑽において、多く技術士の諸先輩方からご指導をいただいていることに感謝申し上げます。
受験の動機、経緯
 平成7年度の運輸省(現国土交通省)への派遣から本職場への復帰を機会に、公務員技術者としての業務へのモチベーションを高く保持しつづけることが必要であると感じたこと、また日頃から尊敬し、業務指導をいただいている職場先輩の職場内第1号技術士の誕生が私の受験意欲の高まった大きな動機です。
筆記試験における傾向と対策
 まず、この試験勉強は資格取得(合格)を結果として見据えるのではなく、公務員技術者として、またプロフェッショナルとして、専門とする技術力やプロ意識・倫理観の向上など、自分に対する設備投資という意味もあり、その効果のひとつとして「合格」があるのもと考えながら、度重なる「不合格」にめげずに取り組んでいました。受験結果として、毎年送られてくる「不合格通知書」は本音のところかなりショックではありますが、この広範にわたる勉強は、通常業務に対する課題抽出やプロとしての専門知識について、時代の変化に応じて日々更新していくうえで決して無駄にはなりません。  また、試験勉強を数人の仲間同士で行うことも大事です。仲間同士の経験論文や、トピックス等についてお互いコメントを出し合うことで、専門的な違った視点やわかりやすい文面への発展等に役立ちます。  試験当日は、少々の開き直りも必要で、この場が自分への投資と、技術士候補生としての意欲表明の場として、技術士になったつもりでペンを走らせることも大事です。
口答試験における傾向と対策
 試験会場が東京であるため、一部の方を除き、前日に会場を確認しておいたほうがよいです。会場の雰囲気に飲み込まれないよう、自分がこれまで積み上げてきたものを限られた時間で説明できるように普段の心構えをしておくためもあり、当日私は緊張しましたが、自分が試験時間に合わせて受験するというよりはむしろ、この時間に自分の説明を聞いてもらえるという少々気楽な感覚で望むことも大事ではないでしょうか。  ここでは、これまで経験してきた業務に関して、自分がどのように係ってきたか、高度な技術力を活かしたわかりやすい説明も当然必要ですが、加えて最近のトピックスについて、自分が置かれた公務員技術者の立場として、また技術士の立場としてどのように考え、取り組んで行くべきかについて、意思表示できることも大切です。特に、近年公務員が置かれている諸課題について、これからを支える公務員技術士として、あるべき姿を実現させるために、日頃の取り組みを自らどのように行っているかなどについて、自分の言葉で説明できることが必要です。
受験者へのアドバイス等
 人口減少や超高齢社会・環境問題等に対応するべく持続可能な社会構築のためには、日頃の業務の中でも公務員技術者に課せられる課題は多種多様であります。プロフェッショナルとして、自らがそれらの課題に直面し、日頃鍛えた高度な技術力を活かして解決していこうとする取り組みが公務員技術者(公務員技術士)として非常に重要であり、結果として成果と成功に繋がるとは限りません。しかし、その取り組みは必ず市民サービスや自分自身の技術力の向上となりますし、この受験を日頃の業務の鍛錬の場として捉えることも必要ではないでしょうか。
おわりに
 「プロフェッショナル」としてその責務を負う技術士の資格は、私の技術者業務を継続していくうえでの新たなスタートラインであり、改めてその責任の重大さと継続的な研鑽の必要性を感じる次第であります。日頃の自身の業務への課題抽出や設備投資の意味からも、受験をおすすめします。
特に参考となった出版物等
 ・(都市計画部門を受験される方に)
 ・「人間都市クリチバ」出版社:学芸出版社
 ・日本経済新聞の「きょうのことば」:新聞記事
 ・「両さんと歩く下町」出版社:集英社新書

  資格取得と一級建築士の使命

 〔取得した資格〕
  一級建築士
 〔資格取得年度〕
  平成15年度


槙原章二(まきはらしょうじ)
鳥取県生活環境部
住宅政策課建築技師
 祖父が大工であった影響もあり幼少の頃から建築の世界に憧れていました。建築を学ぶうえで最初の大きな目標が「一級建築士」でした。  まず、平成11年度に二級建築士を取得し、大学卒業後、2年の実務経験を経て一級建築士を取得しました。
学科試験における傾向と対策
 一級建築士試験は一次の学科と二次の設計製図試験が行われ、学科試験では環境、法規、構造、施工の4分野から出題されます。  法規、構造における計算問題などは多少の変化はあるものの、過去に出題された問題等をより多く解くことで確実に得点できます。  しかし、環境や施工においては建築における新たな指標や工法等、日々変化しているため新工法等に注視することが必要です。  私が受験した平成15年度でも環境・施工では過去の設問に関連しない新しい設問が非常に多く出題されました。その問題を解く鍵になったのは建築関連雑誌に掲載される新工法や新たな環境性能の考え方に関する情報です。  新たな設問は受験者誰もが失点する部分ですので、設計から施工まで総括的に掲載された情報誌などにより情報を得て得点することが学科試験合格の鍵だと思います。
設計製図試験における傾向と対策
 二次の設計製図では、まず第一に図面を早く描き上げることです。そのためには、数十枚とひたすら図面を描くこと以外にありません。  業務においてはCADが一般的となり、製図盤で描いていた頃と比較して現代の若い方が断然描く速度が遅いです。そのためプライベートの時間を全て製図に費やすという意気込みで取り組まなければなりません。  製図速度が上がれば、当然エスキスに時間を割くことができます。エスキスにおけるゾーニングやプランニングは製図同様、どれだけ数をこなしたかで大きく変わります。  設計製図の出題形式も年々複雑化していますが、エスキスで最も重要な点はプランニングに優先度をつけることです。試験に与えられる短い時間で完全な図面を仕上げることは不可能です。そのなかで、課題施設の性質上、各々に絶対に守らなければならない点があります。そのポイントさえ押さえることができれば大きな減点にはなりません。
一級建築士資格と使命について
 構造計算偽装問題など建築士を取り巻く環境ではさまざまな問題が起こり、建築士自体の資質を問われています。  一級建築士の資格取得はあくまで通過点であり、その後一級建築士としてどう行動するかが最も重要です。  一級建築士の方、またはこれから取得される方全員が、安全・安心・快適な建築物を利用者等に提供するという使命を肝に銘じて、今後建築士及び建築業界のさらなる発展につなげていただきますことを節に願います。

  若年技術者の技術力の向上を目指して

 〔取得した資格〕
  一級土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成17年度

加藤紀章(かとうのりあき)
国土交通省関東地方整備局
横浜港湾空港技術調査事務所
設計室
受験の動機、経緯
 臨港道路の現場監督業務に携わり、現場代理人や監理技術者と打合せするなかで、時折技術的な話題に入っていけないことがありました。当然ながら当時20代の私は現場の経験が少なく、資格を取得することでまた試験勉強で得られる知識を活用することで、技術的・心理的にも受注者と対等の立場に近づけるのではないかと考えたのがきっかけでした。さらに現場の経験を通じて、今後も現場に関わっていく人間にとって、資格取得の必要性を感じました。
試験における傾向と対策
 私の場合は、電車での通勤時だけが勉強時間として確保できる時間でした。出勤時の20分間と帰宅時の20分間は毎日参考書を熟読しました。参考書は何度も繰り返し読み、特にキーワードはほぼ暗記しました。  参考書は2冊使用しました。1冊は図・表などの参考資料が多く掲載されている参考書を選び、もう1冊は過去5年間ぐらいの過去問が掲載されている問題集を選びました。  学科試験については、知識の蓄積という目的もあり自分の専門とする分野以外も勉強しました。実地試験の経験記述については、一度パソコンで作成した作文を反復して読み続けました。  今ここで自分の試験勉強を振り返ってみると、継続して勉強できたことが合格の主な要因ではないかと思います。とはいえ、平日の5日間で1日合計40分間を約4ヵ月間、また技術士1次試験も同年に受験する予定でしたので、それに費やした時間を差し引くと、他の合格された方よりもかなり少ない勉強時間だったかもしれません。  また合格するためには、試験概要を十分に把握することではないでしょうか。特に日々の業務に追われている方にとっては、試験日、試験時間、試験範囲を十分に把握していないと、計画的に効率よく勉強することができません。  3つ目は“絶対に合格するぞ!“という強い意志を持つことです。意志の強さは結果として継続的に勉強できるかどうかにつながります。
「土木施工管理技士」を取得して
 ようやく現場監督としての第一歩が踏めたような気がします。しかし、やはり経験に勝るものはないので、試験勉強で得た知識をフルに活用して今後も現場に関わる業務にチャレンジし、近年発注者側で求められている技術力を持った現場のプロフェッショナルになれるようにより一層努力していくつもりです。
これから受験される方へ
 一級土木施工管理技術検定試験は土木全般にわたる内容となっていますので、今まで経験したことのない専門分野も勉強することになり、幅広い知識の蓄積という意味ではどんな方にとっても有意義ではないかと思います。特に国・地方自治体で活躍されている若い技術系職員の方は、最近では現場の経験を積む機会が少ないと聞きます。そのような方には、ぜひお勧めします。  まだ取得されていないみなさん、いかがでしょうか?

  技術士への遠い第1歩

 〔取得した資格〕
  一級土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成17年度


黒田梨恵(くろだりえ)
石川県土木部
県央土木総合事務所維持管理課技師
受験の動機、経緯
 「現場代理人はみんな土木施工管理技士なのに、私は?」   経験豊富な現場代理人との打ち合わせや立会いのなか、対等とまではいかなくとも知識がほしいと思う、経験浅く若い技術者です。また、高専卒の私は技術士第1次試験の際、共通科目が免除の対象となりません。しかし、国家資格取得により、ようやく同期採用の土木職員たちと同じスタートラインに。これらが受験のきっかけとなりました。
学習方法
 私の学習方法は、解説が充実している問題集を選択し、学習しました。試験に合格するという目的はもちろんなのですが、なぜそうなのかという細かな解説は、これまで経験した業務を照らし合わせることで、より一層理解が深まります。さらにその問題集には過去に出題されたものが掲載されており、まとまった学習時間を確保することがなかなか難しいなか、数多くのパターンを解くことができます。実地試験の記述式問題については、これまでの経験のなかでの問題や対処法を整理し、事前に整理しておくことで当日の出題に対応しました。  また、机に向かって勉強する環境を離れてから相当の時間が経過していたため、無理矢理そういう場所に自分を置くことも有効でした。図書館です。休日の数時間ですが、学生に交ざっての学習は、久しぶりに新鮮な気持ちで取り組むことができ、励みにもなりました。
おわりに
 今回の学習により、学生時代に学んだ理論から現在業務で実施している現場品質、施工管理、完成にわたるまでの段階やそれらのつながりが理解でき、合格という自分の小さな自信にもなりました。今回受験することをある代理人に打ち明けたところ、「自分の受験当時を思い出すなぁ。若い人のチャレンジはうれしいね、応援するよ。」と励ましに加えアドバイスも戴き、うれしかったことを覚えています。  いずれは技術士に…遠い、遠い、第1歩を踏み出しました。

  一級土木施工管理技士の受験対策

 〔取得した資格〕
  一級土木施工管理技士
 〔資格取得年度〕
  平成17年度

野賀丘里(こうのかおり)
鳥取県西部総合事務所
県土整備局土木技師
受験の動機、経緯
 私が一級土木施工管理技士を受験しようと思ったのは、経験年数も浅く知識不足で常に現場での指示・協議に自信が持てなかったためです。せめて業者の方と対等に話ができるようになるために、また、土木技師として必要な知識を得るために受験しようと思いました。今までは現場で分からないことに当たってから一所懸命関係のある本を読んで一時的に凌ぐばかりで、自分の業務に関係ないことや、やったことがないことは全く勉強せず手付かずの状態でした。情けない話ですが勉強不足なうえに勉強の仕方が分からなかったのです。しかし、一級土木施工管理技士の試験勉強をしていくうえで「これはどの本に書かれているのだろう」とか「どうしてこうなるのだろう」と考えながら職場にある図書を開いて調べることが多くなりました。
試験の傾向と対策
 一級土木施工管理技士の対策は過去問を回数こなすことにつきます。重要な部分は繰り返し出題されているので過去問演習である程度得点率が上がります。ただ、最初は正解を見ても、それが何に基づいてそう決まっているのか、調べようにもどこに書いてあるのか分からない状態から始めたのでかなり苦労しました。とにかく問題集を中心に数字や規格等覚えて分からないことは職場にある本を読んで調べていました。  二次試験の記述式問題は択一式の一次試験と異なり覚えていないと何も書けないので特に数字の暗記に力を入れました。安全上必要な足場の幅や鉄筋の重ね幅、コンクリートの種類によって異なる養生日数といった暗記力が求められるので必死で覚えました。また、経験作文については以前受験された先輩に文例を見せていただき、どういう型の作文を書けばいいのか参考にしました。そして自分の工事で書きやすいのはどの工事かよく厳選して何本か用意しました。やはりどんな作文を書いたらいいのか分からないと書き出すこともできないので受験経験のある方に色々相談するのが近道だと思います。
特に参考になった図書
 意外に参考になったのが、県が出している土木工事施工管理ハンドブックでした。普段あまりの分厚さに自分の担当する業務の関係のある部分しか読んでいなかったのですが、工種別に施工上気をつける点がまとめられていることに気づきました。ただ、こなした工種が少ないのでよく分からないことも多く、インターネットで調べたり、書店で図が多く用いられている本を探したりもしました。県が出している技術便覧等も活用しました。
受験者へのアドバイス、注意点、励まし等
 実際資格を取得してみて自信がついたかというとそういうこともありませんが、経験では当然敵わないものの、資格のうえでは業者の方と対等なので気後れすることは少なくなりました。受験までの期間には、仕事が忙しくなって勉強時間を確保するのが難しい時期もありますが、できるだけ日常の業務に絡めて知識を増やすことが大切だと思います。