土木施工管理技士の資格取得について(1〜4)
 
  1.はじめに
       現代は “資格の時代”ともいわれるほど多くの資格がありますが、これは複雑な社会構成や科学技術の進歩に対応し、必然的に造り出された社会的制度であります。
建設分野においても、技術の高度化、専門化に対応し各種の資格制度があり、建設技術者の資格取得に対する関心は益々高くなってきています。
さらに、入札・契約適正化法が平成13年4月から施行され、多様な発注方式への取り組みや、施工体制の適正化が掲げられ、発注者・受注者双方ともますます、技術の研鑽や資格取得が必要になってきています。
そこで、本稿では、発注者及び受注者等の方々に土木施工管理技士の資格試験の概要、そのメリット、出題傾向等について紹介するものです。
 
  2.技術検定制度及び施工管理技士の位置づけについて
         技術検定制度は、建設業法第一条の目的(建設業を営むものの資質の向上、建設工事の適正な施工等)達成の一環として、国土交通大臣が、昭和35年より建設工事に従事するものを対象に技術検定を行っており、現在6種目が実施されています。
これら技術検定の種目のうち、土木施工管理技術検定については、1級は昭和44年から、2級は昭和45年から実施しているもので、1級、2級ともに学科試験及び実地試験によって行われる技術検定試験に合格した者に対して、国土交通大臣は技術検定合格証明書を交付するものであり、特に2級については、技術研修、施工技術者試験を実施して検定試験の全部又は一部を免除するなど、資格取得促進の制度も講じています。なお、技術検定の合格者は、建設業法により、級及び種目の名称を冠する「○級土木施工管理技師」の称号を称することができることとなっています。
これら技術検定試験、技術研修、施工技術者試験については、国土交通大臣が指定した機関((財)全国建設研修センター)において試験事務を実施しています。
   
 

  3.土木施工管理技士(1級・2級)
         道路、河川、橋梁、ダム、トンネル等の土木工事において、主任技術者又は監理技術者として施工計画を作成し、現場における工程管理、品質管理、安全管理等工事施工に必要な技術上の管理等の措置を適切に実施することを業務とします。
1級土木施工管理技士は、土木一式工事等に関し高度の応用能力を有する技術者として指導監督的立場で現場の施工管理にあたります。
2級土木施工管理技士は、「土木」、「鋼構造物塗装」、「薬液注入」の3種類に分かれ、それぞれ現場の施工管理にあたることになっています。
 
  4.土木施工管理技士の資格取得のメリット
    (1)1級土木施工管理技士
 
特定建設業の営業所ごとに置かなければならない専任技術者になれます。
      建設業法(第2条、第3条)に定められた土木工事関係8業種(土木工事業、とび・土工工事業、石工事業、塗装工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、浚渫工事業、水道施設工事業)の許可に際して必要です。
    工事現場ごとに置かなければならない主任技術者になれます。(法第26条)
      特に契約金額が1億6千万円以上の工事の主任技術者になれます。(当然、1級の技術者は契約金額の大小に関係なく、主任技術者になれます。)
    工事現場ごとに置かなければならない監理技術者になれます。(法第26条)
      発注者から直接工事を請負、かつ総額3千万円以上の下請契約を締結する建設業者は、工事現場に専任として置かなければならない者として、主任技術者にかえて監理技術者としなければなりません。
    経営事項審査において、5点として評価されます。
   
    (2)2級土木施工管理技士
  一般建設業の営業所ごとに置かなければならない専任技術者になれます。
    契約金額が1億6千万円以下の工事で、工事現場ごとに置かなければならない主任技術者になれます。
    経営事項審査において、2点として評価されます。