建築士の概要
 
  1.建築士とは
     建築士とは、建築士法(昭和25年法律第202号)に定められる資格者で、建築物の設計、工事監理を行う技術者のことです。業務の対象となる建築物の種別、規模、構造等によって、一級建築士、二級建築士、木造建築士に分けられます。
  2.建築士の業務
       建築士の業務には、以下のように建築士でなければ行うことができない業務と建築士が行うことができる業務があります。建築士が他人の求めに応じて報酬を得る場合、または、建築士を使用して他人の求めに応じて報酬を得て業務を行う場合には、建築士事務所を定めて都道府県知事の登録を受けることが必要となります。
 
    (1)建築士でなければ行うことができない業務
        多くの建築物の設計・工事監理は建築士でなければできません。(図−1)
 
    (2)建築士が行うことができる業務
         建築士は、設計・工事監理を行うほかに、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査又は鑑定、建築に関する法令又は条例に基づく手続の代理等の業務を行うことができます。
   

 
図―1


3.他法令等における建築士の位置づけ
    (1)建設業法による主任技術者資格
         建設業法では、建設業の許可を受ける際にはその営業所ごとに専任の技術者を置かなければならないこととされています。(建設業法第7条第2号、第15条第2号)
また、建設業者は請け負った建設工事について、工事現場における工事の施工の技術上の管理をつかさどる主任技術者をおかなければなりません。(建設業法第26条第1項、第2項)この専任技術者等については、一定の要件が定められていますが、表−1のとおり一定の業種については、建築士が認められています。
         
    (2)建築基準法による定期検査資格
      特殊建築物の調査、報告(建築基準法第12条第1項)
      昇降機の検査、報告(建築基準法第12条第2項、第88条第1項)
      建築設備の検査、報告(建築基準法第12条第2項)
      の業務は、国土交通大臣が定めた資格を有する者のほか、一級建築士又は二級建築士でも行うことができます。
         
    (3)建築基準法による建築基準適合判定資格者(建築基準法第5条第3項)
         建築基準法にもとづく指定確認検査機関又は地方公共団体において建築確認・検査業務を確認検査員又は建築主事として行う際に必要となる資格で、当該資格を取得するための検定である建築基準適合判定資格者検定の受検資格として、一級建築士試験に合格した者であることが求められています。
       
表―1



    (4)住宅の品質確保の促進等に関する法律による評価員(住宅の品質確保の促進等に関する法律施行規則第15条)
         住宅の品質確保の促進等に関する法律にもとづき住宅の性能評価を行う指定住宅性能評価機関が住宅性能評価を実施させる評価員は、住宅性能評価を行おうとする住宅の種類及び規模に応じて下記の建築士であることが定められています。
    すべての住宅(図−1中(A)〜(D))一級建築士
      第二種建築物又は第三種建築物である住宅(図−1中(A)〜(C))二級建築士
      第三種建築物である住宅(図−1中(A)、(B))木造建築士
   
    (5)建設コンサルタント登録規程における専任の管理者資格
         建設コンサルタントのうち、20の登録部門に係る営業を営むものは、国土交通省に備える建設コンサルタント登録簿に登録を受けることができます。
      登録の要件として
      登録部門ごとに、業務の技術上の管理をつかさどる一定の要件を満たす専任の者を置く者であること。
      建設コンサルタント業務に関する契約を履行するに足りる財産的基礎または金銭的信用を有しないことが明らかなものでないことが必要です。専任の技術者としては、登録部門に関連する技術士の登録を受けた者及び登録部門に係る業務に業務に関し20年以上の実務を経験する者で国土交通大臣が技術士と同程度の知識及び技術を有するものと認められる者等が定められています。この登録部門のうち、都市計画及び地方計画部門については、一級建築士で免許取得後、都市計画及び地方計画部門に係る業務に関し5年以上の実務の経験を有する者も所定の要件を満たす技術士とともに認められています。