■第592回建設技術講習会(災害復旧) 〜開催について


第592回建設技術講習会 現場研修事業の概要

1 波介川(はげがわ)河口導流事業
…………………………………………………………………………………………………………………土佐市新居
 波介川は、仁淀川の河口から2.0km付近に合流する右支川で、流域面積73.3km2、流路延長19.0kmの一級河川であり、土佐市を貫流し、仁淀川に合流する河川の中では下流部最大の河川である。洪水時には仁淀川本川の水位が波介川の水位より高くなることと、波介川は上流に行くほど地盤が低い低奥型の地形であることが相まって水はけが悪く、土佐市中心部は過去幾多の水害を被ってきた。
 こうした波介川流域の特性を踏まえ、慢性的な浸水被害の軽減を目指して、仁淀川|と波介川との合流点を仁淀川河口部に付け替え、波介川潮止堰、十文字堰及び波介川樋門の三施設の連携操作により、波介川の洪水を仁淀川河口に導流する事業であり、約8年の工事期間を経て平成24年5月に完成している。

2 国分川他堤防耐震工事
………………………………………………………………………………………………………………………高知市
 近い将来に発生が予想される南海トラフ巨大地震では、強いゆれと巨大な津波が県内各地を襲うことが想定されている。また、高知市中心部では、地震で地盤が沈下することにより「長期浸水」の発生も想定されており、発災時の被害のみならず、発災後の復旧・復興にも大きな支障をきたすことが懸念されている。
 このような被害を軽減するため、高知市中心部を囲む国分川・江ノ口川・鏡川においては、平成20年度より、安政南海地震(M8.4)クラスを想定した堤防の耐震対策を進めている。
 長期浸水被害を軽減するためには、堤防による川からの浸水を防止する「止水対策」とあわせて、排水機場等によって堤防の内側に溜まった水を排出する「排水対策」が必要となることから、排水機場においても地震対策を進めている。

3 県道高知南インター線4車線化整備事業
………………………………………………………………………………………………………………高知市五台山
 一般県道高知南インター線は、高知市高須新町の国道32号交差点を起点とし、高知新港に至るバイパス道路である。この道路は、高知市街地から高知医療センターや高知新港へのアクセス道路であり、また、高知東部自動車道路を経由して高知龍馬空港を結ぶ重要な地域連携道路でもある。この路線の整備により、道路ネットワーク機能が強化され、高次医療施設へのカバー圏域が拡大し、また、発生の逼迫性が指摘されている南海地震時における緊急輸送道路としての効果が期待される。
 現在、直轄事業中である高知東部自動車道路(高規格道路)の高知南IC(仮称)の完成にあわせるよう、平成20年代半ばの4車線化を目指している。

4 穴内漁港海岸災害復旧事業
…………………………………………………………………………………………………………………安芸市穴内
 平成23年7月台風6号に伴う波浪により、海岸堤防の前面が洗掘を受けたことにより、堤防が滑り出し、堤防機能を失う甚大な被害が発生した。また、当該海岸東部の離岸堤1基についても天端の一部が沈下した。海岸堤の被災は2箇所で432.9m、消波ブロックの沈下が131.0mにおよぶ災害となった。一時20世帯44人に避難勧告が発令される事態となったが、幸いにも人的被害は発生しなかった。
23年12月より本復旧に着手し、海岸堤防や消波ブロックの復旧を実施し、24年11月頃の完成を予定している。また、被災箇所東側より順次整備を進めている、人工リーフの延伸も進める予定である。