■第576回建設技術講習会(公共事業を巡る諸課題と建設技術者のあり方) 〜開催について


第576回建設技術講習会 現場研修事業の概要

1 創成川通アンダーパス連続化事業
………………………………………………………………………………………………札幌市中央区南5条〜北3条
 本路線は、都心南北交通の主軸であり、また、道路中央に位置する創成川は本市における歴史的遺産であるとともに、シンボル的な南北都市軸となっている。
 本市都心部においては、高次な都市機能と快適で魅力ある空間として、交通混雑の緩和や都心空間の有効利用、都心環境の改善などが求められていた。
 その一方策として昭和46年に完成した、創成川通の南アンダーパス(南5条〜南2条)と北アンダーパス(大通〜北3条)の2つのアンダーパスの連続化を図り、平成21年3月にトンネル部の供用を開始し交通混雑の解消を実現した。
 また、平成23年3月に地上部の道路と親水緑地空間(創成川公園)の整備が完了し、現在、市民の憩いの場として親しまれている。

2 道央圏連絡道路建設事業
…………………………………………………………………………………………………千歳市平和〜小樽市銭函
 道央圏連絡道路は、千歳市を起点とし、道央圏の物流拠点や工業団地等の産業拠点、道内有数の農業地帯を通過し、小樽市に至る延長約80kmの地域高規格道路であり、国際的な交流拠点である新千歳空港、特定重要港湾苫小牧港、重要港湾石狩湾新港を結び、高規格幹線道路網と一体となって広域交通ネットワークを形成し、地域間交流の促進及び物流の効率化を支援するとともに、北海道の中枢機能を有する札幌圏の都市環状の形成を図るものである。平成22年12月18日には、千歳市流通3丁目から千歳市中央迄の約6.7kmが、平成23年3月5日には、江別市美原から当別町蕨岱迄の約5.7kmが開通し、既に開通されている区間と併せて約50kmが開通している。
 今回の現場である泉郷道路は、千歳市中央から夕張郡長沼町までの延長8.2kmの区間で現在建設中であり、緊急救急搬送やアクセスの向上など、地域住民にとっても早急な整備が期待されている。

3 千歳川遊水地群整備事業
…………………………………………………………………………………江別市、千歳市、北広島市 ほか1市2町
 千歳川の流域は、その地形・気候特性から、過去、幾度となく水害に見舞われ、洪水時には合流する石狩川本川の高い水位の影響を長時間に渡り受けることから、河川の氾濫等による水害に悩まされ、近年では、昭和50年、56年、平成13年と洪水が発生している水害常襲地域となっている。
 平成16年6月、国土交通省は、石狩川水系に係る河川整備の基本となるべき方針を定める「石狩川水系河川整備基本方針」を策定し、平成17年4月に北海道開発局は、この基本方針に基づく具体的な河川整備の内容を定める「石狩川水系千歳川河川整備計画」を策定したところである。
 この整備計画では、千歳川を含む石狩川流域に甚大な被害をもたらした昭和56年8月洪水に対処することなどを目標とし、堤防の整備や河道の掘削のほか、流域4市2町に分散した洪水調節容量約5千万m3の遊水地群の整備が位置付けられ、順次整備を進めている。
 遊水地群の整備状況としては、平成21年度に長沼町の嶮淵右岸地区、平成22年度には恵庭市の北島地区の工事に着手し、平成23年度は南幌町の晩翠地区、北広島市の東の里地区に着手する。残る江別市の江別太地区、千歳市の根志越地区についても、工事着手に向け、用地取得を進めているところである。

4 樽前山火山砂防事業
……………………………………………………………………………………………………………………苫小牧市
 樽前山は北海道南西部に位置し、苫小牧市と千歳市にまたがる標高1,041mの活火山で、支笏洞爺国立公園に属している。
 現在も日常的に噴煙を上げているが、近年の火山活動は1981年に小規模な噴火が見られた程度で、小康状態を保っているが、今後、噴火する可能性も考えられる。樽前山が噴火すると泥流や火山灰により苫小牧市一帯に大きな被害を及ぼすことが予想されており、さらに、北海道の生活や産業を支える鉄道、高速道路、空港、港湾などにもその被害がおよび、社会機能がマヒすることが想定されている。
 そこで、被害を軽減する上で噴火が起きる前の対策が重要となっており、平成6年度より樽前山の火山砂防事業に着手することとなった。特に、大量の泥流が流れ、大きな被害の発生が想定される渓流に対して、砂防施設の整備を進めている。