■第575回建設技術講習会(上水道行政の課題・下水道行政の課題) 〜開催について


第575回建設技術講習会 現場研修事業の概要

1 滋賀県企業庁吉川浄水場
…………………………………………………………………………………………………………………野洲市吉川
 吉川浄水場は、草津市、守山市、栗東市、野洲市、湖南市に安全で安心な飲料水を、南部地区に工業用水を安定的に供給している。吉川浄水場でつくられた水道用水と工業用水は送水ポンプによって水道用水は調整池に、工業用水は配水池にいったん貯め、高低差を利用して自然流下で各市や企業に送・配水している。工業用水は直接各企業に供給しているが、水道用水は各市の配水池に水道用水を供給するいわば"水の問屋"であり、県と市が一体となって家庭や商店・企業へ水を配り、県民の暮らしを支えている。
 平成23年4月から所管している4浄水場(吉川浄水場、馬渕浄水場、水口浄水場、彦根浄水場)の運転監視を、吉川浄水場に導入した集中監視システムにより一元管理している。

2 琵琶湖流域下水道湖南中部浄化センター
…………………………………………………………………………………………………草津市矢橋町
 琵琶湖の水は、琵琶湖周辺のみならず京阪神地域の貴重な水資源として大半をまかなっている。
 湖南中部浄化センターでは、琵琶湖の富栄養化の原因物質である窒素とリンを効率的に除去する「高度処理」を行っている。
 また、凝集剤添加多段硝化脱窒法による「超高度処理」の導入を一層進めることで、琵琶湖への負荷をさらに低減するように努めている。

3 大津市水再生センター
………………………………………………………………………………………………………………大津市由美浜
 水再生センターでは、琵琶湖の水質保全と良好な水環境を取り戻すことを目的に、U系水処理施設において既存の処理施設の基本構造や容積を変えることなく、窒素の削減を高める処理槽を設置し、さらに担体(プラスチック)を投入することで、安定した有機物と窒素の削減を短時間でできる高度処理システムを導入している。
 計画処理能力は一日最大88,400m3(日最大)で、計画処理人口は105,300人となっている。処理方法は、凝集剤添加活性汚泥法及び凝集剤添加担体利用循環式硝化脱窒法で琵琶湖の水質保全に取り組む上で、重要な役割を果たすとともに、施設屋上は公園とし、テニスコート等を整備しており、地元のみならず市民の方々にも憩いの場として親しまれている。

4 合流式下水道改善事業(美しき碧き琵琶湖を守る)
………………………………………………………………………………………………大津市由美浜〜浜大津地内
 合流式下水道は、浸水対策と生活排水の処理を目的に、汚水と雨水を一本の下水道管で排除する方式です。この方式は汚水と雨水を別々の下水道管で流す分流式下水道と比べて、経済的にまた短期間で整備できる利点があり、古くから下水道整備が進んでいる都市において採用されてきました。しかしながら、合流式下水道では一定以上の降雨があり、水再生センターで処理しきれない量の流入があると、希釈された状態ではありますが、未処理の下水が雨水吐室より琵琶湖に放流されるため、琵琶湖の水質や景観の保全上から、その改善が必要になってきています。その改善対策として、主要地方道草津線および国道161号の地下約12m(土被り)に今まで未処理で放流していた下水を一旦貯留するため貯留管渠を築造し、その下水を水再生センターで浄化処理した後、琵琶湖へ放流することとしています。
 この「貯留管渠建設工事(大津工区)」は、日本下水道事業団へ施工委託し、平成21年度からシールド工法で約2.9kmの貯留管を建設しています。