■第554回建設技術講習会(道路行政の課題、港湾・漁港行政の課題)〜現場研修事業の概要


第554回建設技術講習会 現場研修事業の概要

1 熊本城復元整備事業
……………………………………………………………………………………………………………熊本市二の丸
 本計画は、加藤清正が築城した98haの熊本城城郭全体を対象に、往時の姿に復元整備することを目指し ています。
 整備内容が広範囲かつ多岐にわたり、また莫大な事業費を要する計画のため、城域を本丸(保存・復元ゾーン)、二の丸(緑の遊園ゾーン)、三の丸(歴史・学習体験ゾーン)、古城(観光客のエントランスゾーン)、千葉城(文化交流ゾーン)の5つのゾーンに区分し整備を進めています。
 計画は短期・中期・長期に分けて整備を進めており、短期計画は、築城400年にあたる平成19年(2007年)に終了しています。また、本丸御殿(ほんまるごてん)をはじめ、西出丸(にしでまる)の塀、戌亥櫓(いぬいやぐら)、元太鼓櫓(もとたいこやぐら)、奉行丸(ぶぎょうまる)の塀、未申櫓(ひつじさるやぐら)、南大手門(みなみおおてもん)など熊本城への登城ルートの歴史的建造物の復元を終了しました。 中期整備としては、百間櫓(ひゃっけんやぐら)や数奇屋丸五階櫓(すきやまるごかいやぐら)、北大手櫓門(きたおおてやぐらもん)等の復元を進めていきます。

2 熊本駅周辺整備事業
………………………………………………………………………………………………………………熊本市春日
 JR熊本駅は明治24年に鉄道が開通してから陸の玄関口として大きな役割を担ってきました。しかし、駅周辺地域は鉄道により地域が分断され、道路等の基盤整備も不十分なため、人口の減少と周辺商業も衰退し、主要な拠点としての機能を果たしていませんでした。そこで、都市構造を一点集中型から多角的市街地構造へ転換を図り、駅周辺地区を「副都心」と位置づけ、都市機能を補完する拠点づくりを進めました。九州新幹線鹿児島ルートの建設、JR鹿児島本線等鉄道高架化をはじめ熊本駅周辺地域等の整備は、県市の発展に欠かせない重要な事業として平成9年に「JR鹿児島本線等鉄道高架化及び熊本駅周辺地域等の整備に関する協定」を県市で締結し、相互に連携・協力し計画的に取り組んできました。このような中、新幹線開業時期が前倒しされ、鉄道高架化区間の延長、熊本合同庁舎の熊本駅周辺への移転が決定されるなど状況に変化が生じたため、平成17年6月に県と市で「熊本駅周辺地域整備基本計画」を策定。各ゾーンに分けて整備を行い、熊本の自然や歴史を活かしながら重要な交通結節点としての機能を高め、活気が溢れ人にやさしいまちづくりを目指した整備を進めています。

3 松合漁港漁業集落環境整備事業等
…………………………………………………………………………………………………………宇城市不知火町
 平成11年9月24日午前5時30分ごろ、台風18号に伴う高潮により、松合漁港の背後集落では、死者12名、冠水戸数60戸という甚大な被害を受けました。その復興にあたり、国、県、町、学識経験者でつくる「松合漁港高潮対策検討会」を中心に、防災・環境・利用を考えた総合的復興指針が策定されました。特に、災害からの不安解消からも地元住民の強い要望もあり、早急な事業着手が望まれていました。しかし、漁業集落環境整備事業で家屋が残っている地盤の嵩上げをした事例はほとんどありませんでした。松合漁港の場合は、高潮が来襲した場合、背後に逃げ道が確保されておらず特殊な地形を形成している実態に鑑み地盤の嵩上げをすることが一番望ましいと判断されました。
 平成15年9月に松合地区の防潮水門、続いて船溜まり部の護岸嵩上げ整備が完成し、さらに平成16年9月には救の浦地区の防潮水門が完成し、被災から5年という短期間において松合地区、救の浦地区の防災機能が格段に上がり、その結果、平成16年に来襲した台風の際も防潮水門を閉鎖することにより、背後集落地の高潮に対する安全が確保されました。なお本事業は平成16年度に全建賞を受賞しています。



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