■第468回建設技術講習会(公共事業と地域)〜現場研修の概要


第468回建設技術講習会の主な現場研修立ち寄り先

1)松合地区高潮災害対策整備事業……………宇土郡不知火町
 平成11年9月の台風18号は天草下島に位置する牛深市付近から、島原半島の南端に達するコースを約1時間かけて通過した。このコースが南西方向から北東方向へ伸びている不知火海の形状をほぼ平行にたどる形であったため、台風通過を起因とする気圧低下と、風による吹き寄せに伴う海面上昇の影響を、V字型の最湾奥に位置する待合地区周辺が最も直接的に受けた形となった。
 第1種松合漁港区域内にある松合地区の復興は、漁港管理者である不知火町に対し、被害状況が甚大かつ特異であったことから熊本県も最大限の支援を行うべく、一体となって取り組むこととした。その結果平成11年12月熊本大学の滝野教授を座長として水産庁・県・町の関係機関で構成した「松合漁港高潮対策検討会」を設置し、(1)船溜りの開口部における水門設置、(2)護岸の天端嵩上げ、(3)集落内道路などの整備、(4)避難体制の確立の基本方針が提言された。さらに平成12年度には新たに地区住民代表者を加えた「松合漁港高潮対策実施検討会」を設置し、基本方針の詳細部分について検討を加えた。また、復興に係る事業費が多大であり、全事業を早期に完了させることが困難であると想定されたため、個々の事業がもつ緊急度合いを考慮した事業実施のスケジュールを提言した。

2)天草幹線道路(松島道路)整備事業……………松島町合津〜有明町上津浦
 天草幹線道路は、熊本市から本渡市に至る延長約70kmの地域高規格道路の計画路線として、平成6年12月に路線指定された。この道路は、熊本都市圏と天草地域との交流・連携を強化するとともに、重要港湾である熊本港や三角港等の広域交通拠点相互を連結し、効率的な交通体系を形成することを目的として整備を進めている。
 また、熊本県総合計画「パートナーシップ21くまもと」における施策の1つである熊本空港や熊本都市圏と県内主要都市間を90分で結ぶ「90分構想」の実現に資するもの。
 熊本・天草間の交流が盛んになる、交通渋滞の緩和、天草への交通代替路線の確保等の整備効果に加え、観光客の増加、水産物の市場価値の向上等その他の間接効果も期待される。

3)三角西港歴史散策コース整備事業……………三角町
 三角西港は明治20年に開港され、明治期以降の近代港湾の歴史上、国費を投じて築港された港として宮城県の野蒜港、福井県の三国港と並ぶ当時の国家的事業であった。
 特に、その歴史的価値としては、オランダの築港技術が導入されていること、港湾施設のみならず背後を含めた都市づくりが一体的に整備され、約100年を経過した今日においても築港当時の石積ふ頭、水路、橋等がほぼ原形のまま残されており、また、明治35年に建築された郡役所等の各種建築物を含めて、その文化的遺産は高く評価され、その保存的価値が再認識されている。
 このようなことから、これら歴史的港湾施設の、保存・復元を計画し、これらを活かした港湾の歴史的な景観形成を図るため、昭和60年度から歴史的環境保全緑地としてその整備を推進している。


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